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作家として
占星術研究家として
家族を持つ一人の男として

心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。


2015年9月5日土曜日

仮住まいのゼファー

ずっと長く勤めてきたホテルがありました。

20代後半から40代を終えるまで、20年以上。

最初はアルバイト勤務で、そして最後の数年間は配ぜんのスタッフとして。



そこが今、ものすごく大きな変化を迎えています。

ホテル全体の目指すところも、システムも、それに伴って人間も。

私がまたサービス業に戻るということは、当面の未来にはないと思えますが。

私は好きでした。
お客様と接するそのお仕事が。

肉体的にはタフだったことも幸いし、がんがん体を動かすこともできました(ホテルって、見かけと違った大変な肉体労働です。とくに料飲関係は)。

汗を流して働くというのが、結構好きなんですね。

そのうえで、お客様からの感謝や笑顔を得られたら、これほどうれしいものはありません。

自分が行ったサービスをお客様が喜んでくださる。
それがまた自分の喜びとなる。

それこそがサービス業の醍醐味でした。

これは、ほんとに嬉しいし、楽しい。


そこで得られた仲間たちやお客様との人間関係は、私にとって大きな財産です。

2005年に占星術師として旗揚げした時も、この周りの方々のご縁で、どれだけ助けられたことか。


二年前、ホテルの現場から実質的に退きましたが、あの日々は私にとって、なんというのか、大変だったけれど、結構キラキラ輝いている時期でした。
(経済的にはとても厳しかった時期が長かったけれど)

20数年を過ごしたその場所。

その思い出の場所が、大きく変わろうとしている。
というよりも、前とは全く別なものになろうとしているといってもいいかも。

私が知っている人も、ほとんどいなくなりました。


「寂しいでしょう」と、ある人が言いました。

ところが、私はそんな感傷的な思いはないのです。まったく。

私はあまり水のエレメント(蟹座、蠍座、魚座)が性格的に強調されている人間ではありません。

しかし、月という感受性を強く持つ蟹座の支配星が1ハウスにあったり、愛情の金星は蠍座で、海王星(魚座の支配星)といっしょだったり、本当のことを言えば水のエレメント的な資質を、もうちょっと持っていても不思議ではありません。

ま、月は天秤座という風のエレメントなので、どうしても感情的な感じではなくなりますが。


客観的に見たら、そうなのです。

情緒優先でないのは確かですけれど、それでも自分が大事にしてきた職場が、もうまるで様変わりしてしまって人も変わってしまうという事態に、哀しいとか寂しいという感情がまったく湧かないのは、これは人間として情操が枯れているんじゃないかとか、自分を疑いたくもなります。

でも、当たり前に悲しいドラマを見て泣きますし、悲惨な事件報道を見ればやはり心が痛みます。

なんでなんだろう、と思っていたら、はたとその理由がわかるときがありました。


たとえばある会社に就職して、その職場に愛着を持ち、自分の能力をささげて頑張る。

私もこれに近かったわけですが。

でも、職場こそ命みたいになっていなかったし、絶対にここでないといけないとも思っていなかった。

その中にどっぷり浸かって、職場そのものにそもそも感情移入していなかったのです。

同じことをして、すごく職場に感情移入する方はいらっしゃいます。

でも、自分はそうではなかった。

それはアルバイトとか配ぜんだったからではなく、「これは仮の作業だ」という思いのほうが強かったのです。

本当になすべきこと、本当の仕事というのは別にある、ということが、常に私の意識の中にはあったのですね。

本当の自分の仕事、お役目は別にある。

それがどんな時も強い芯としてあった。

もちろんそれは潜在的なもので、現場では一生懸命働いていましたよ。

でも、どこかで「ここには仮住まいさせてもらっている」というような気持ちがあったのですね。

だから、あの職場に強く依存することもなかった。

今こうしているだけ(この思いが非常に強かった)。
でも、与えられたことは全力でやる。


あの長い時間。
今思えば。


ずっとそんな感じだったのですね。

だから仮住まいの場所の様相が変わったとしても、あまり感傷的にもなりにくいのでしょう。

それに本当に大事なのは人間関係で、その時代に積み上げられた人との絆は、ホテルとは無縁に今でもちゃんと生きているし。


等々……

今日は思い出すことがあり、ただつらつらと書かせていただきました。